緩和ケアとは
沖縄協同病院2階外来 患者・家族サポーティブケア担当(外来緩和ケア担当看護師) 山城 美香
緩和ケアと聞いて、皆さまはどう思われますか?どのようなイメージでしょうか。
「がんと診断され、がんの治療をしてきたのに、もう治療がなくなり緩和だな。」と思われていませんか?
緩和ケア
これまでの考え方は、「がん治療ができなくなったら緩和ケアを行う」としていましたが、現在は「がんと診断された時から気持ちのつらさや症状などを緩和する緩和ケア」を提供しています。
緩和ケアの捉え方が変わってきた背景には、早期発見や手術、抗がん剤、放射線治療などの進歩により、がんと診断されてかも、治療しながら長期の生存が可能になってきたことからだと考えられています。
さらに近年では、がんだけでなく、すべての病気の症状緩和にも緩和ケアは適応されてきています。
「緩和ケア」は「終末期医療(ターミナルケア)」とどう違うの?と疑問に思いますよね。「終末期医療」は緩和ケア概念の一部を示したものです。病気の治療や延命ではなく、その人らしく最期を過ごせるようにしていくことです。
緩和ケアは病気による身体的・社会的・精神的・スピリチュアルな苦痛を取り除けるように患者さんやその家族が望むQOL(人生の質・生活の質)を確認しながら治療と並行して日常生活が送れるようにサポートしていくことです。
痛みをはじめとした体の症状や気持ちのつらさ、職場での対応方法、家庭の事などを抱えていては充実した毎日を送ることができません。
患者さんのその人らしい毎日を過ごすことができるように、さらに家族もサポートできるようにと緩和ケアの担当看護師が配置されました。
具体的にどんなことを緩和ケアしているの?と疑問となりますよね。病気だけでなくいろいろな苦痛と闘わなければいけないとしたら・・・
・痛みは、あなたの生きるエネルギーを奪います。
・強い倦怠感は、もうなにもできないという無力感をまねきます。
・吐き気は、あなたを一日中不愉快な気分にさせます。
・気持ちの落ち込みは、あなたの力を奪います。
・希望が見えないことは、あなたを絶望の淵に追いやります。
病気になったとき、緩和ケアは病気の治療をサポートして日常生活を充実させる大切なケアです。苦痛が緩和されれば、大切な時間を取り戻せます。「こんなことは相談しても仕方がない」と思わず、どんなことでも伝えてください。
「つらいな」と思ったら、どんなことでも遠慮せずに声をかけてください。
人にはそれぞれのライフスタイルがあります。私たちは、患者さんがその人らしく日常生活を送れるように支援できることを大切にしています。
患者とご家族に寄り添い、知識や技術を生かして最善の対応ができるよう努めてまいります。
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